技術情報 技術原理
FBGセンサの周波数多重化法(OFDR)
FBGセンサは1本の光ファイバ上にいくつものセンサ部を設けることができます。しかし、多数設けられたセンサの位置を、何らかの手法で識別しなければなりません。反射波長の違いでそれを認識する波長多重、反射時間の違いで認識する時間多重などの手法がこれまで出ていますが、測定点数や空間分解能に課題がありました。この技術を用いることにより、これらの課題を解決することができます。
FBGセンサの周波数多重化法(OFDR)
OFDR計測法(正式名称は、光周波数領域リフレクトメトリ、Optical Frequency Domain Reflectometry)に用いられる光学系のシステム図は下図の通りである。光学系は、波長可変型光源(Tunable Laser)、受光器(Detector)、全反射終端(R)、FBGセンサ(FBG)から構成される。全反射終端とFBGセンサはマイケルソン干渉計を構成している。波長可変光源の波長を連続的に変化させ、各波長における反射光強度を受光器で計測する。
FBG上の微小区間からの反射光は、ある波長の光のみを強く反射するため、波長可変光源の光波数kとその反射光強度の関係は、図/下段右のような形となる。また、ピークを示す光波数kは,FBG部でのひずみの大きさに依存して変化する。ここで、光波数kと波長λは以下の関係を有する。
一方、FBG微小区間からの反射光と、全反射終端Rからの反射光は光路差2nLiを有する。これら2つの反射光は干渉を起こし、この干渉光強度の直流成分を除いた変動成分は、光波数kに依存して、以下のように表される。
ここで、nは光ファイバの屈折率を表す。前述した二つの作用により、受光器で検出される光強度は、図/下段左に示すように、光波数kに対してある周期とピークを持った形で変化する。つまり、次式のような形で表される。
ここで、RFBG(k)はFBG内微小区間の反射特性を表す光波数(波長)の関数である。この受光器で検出される信号の周期から光路差Li、つまりFBG内微小区間の位置を、またピークを示す光波数kからひずみの値を計測することが可能となる。FBG全体としては、光路差Liつまり周期が異なる波形の和として光強度が観測されることとなる。
この方式を用いることで、1mm以下の間隔で連続的に歪みを検出したり、数百点の歪みを1ラインで計測することが可能となる。