技術情報 技術原理
ファイバブラッググレーティングセンサ(FBG)
光ファイバのコアに紫外線を照射して、規則的な縞(回折格子)を作ります。すると、光ファイバの中を透過していく光の様々な波長の中でその縞の周期(屈折率)に合う波長だけが跳ね返されます(反射)。この縞の周期は歪みや温度によって伸縮しますのでセンサになります。
ファイバブラッググレーティングセンサ(FBGセンサ)
ファイバブラッググレーティング(FBG)は、紫外線を用いて光ファイバのコア中に回折格子を形成し、通信分野では光フィルタとしての機能を持つた光ファイバ型デバイスとして用いられている。ゲルマニウム(Ge)をドープした光ファイバのコアに、波長250nm前後の紫外(UV)光を照射すると、光誘起屈折率変化(Photosensitivity)によりその屈折率が変化し、照射を止めた後も持続する。光ファイバのコアにUV光の干渉縞を形成して、周期的な屈折率変化を書き込んだもので、これは回折格子(グレーティング)として働く。 グレーティングの周期をΛ、光ファイバの有効屈折率をneffとすると、次の式を満たす波長(ブラッグ波長) Bで強い反射が生じ、その他の波長では透過する(下図)。
屈折率はneff=1.45程度であるから、B=1.55μmとするためには、Λ=0.54μm程度になる。反射の強さと反射帯域幅は、屈折率変化の大きさとFBG長によって様々だが、長さ数cmで反射率100%、反射帯域も0.1〜1nm程度のものが作製されている。
上式のブラッグ波長Bは、屈折率neffあるいはグレーティングの周期Λの変化によってシフトする。つまり、グレーティングのある部分に歪みあるいは温度変化が与えられると、neffとΛが変化しブラッグ波長がシフトすることになる。このことがFBGをひずみ・温度センサとして動作させる原理である。FBGの最大の特徴は、1本の光ファイバ上に複数個のセンサ部を設けることができることであり、波長多重、時間多重、周波数多重などの手法がある。
FBG部に1μεの一様ひずみが発生した場合、1pm程度の波長変化が生じる。この波長変化を観測することでFBG部のひずみ量を算出することができる。温度の変化に対しては、11pm/℃程度である。