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光ファイバドップラセンサ(FOD)

技術情報 技術原理 光ファイバドップラセンサ(FOD)

光ファイバで、人間の耳にも聞こえない超音波領域を検知することができます。従来は様々なセラミック素子を利用した圧電型のセンサがメインでしたが、これと同程度の性能を持っています。この超音波を検出することで、目にも見えないような微小な亀裂の発生・進展を観察できます。

光ファイバドップラセンサ

光ファイバ線は、コアとクラッドの2層構造になっており、光波はその境界近傍で全反射を繰り返しながら伝播する。測定に際しては、下図に示すようにこの光ファイバ線の一部を被計測物に固着する。この固着部がセンサ部になり、被計測物が振動するとセンサ部もその振動に併せて伸縮する。そして、固着部の一端から周波数f0の光波を入力している場合、入力端から出力端までの経路内に存在するある瞬間のレーザ光の波数は一定であることから、経路長が伸縮すれば波長が伸縮する、すなわち、伝播速度は一定であるから周波数がfdだけ変化する。これをレーザードップラ効果と呼び、他端から出力される光波の周波数はf0-fd となる。この周波数変調量fd は光ファイバの伸縮、すなわち被計測物の変位量の変位(ひずみ)速度に比例する。したがって、この周波数変調量を検知することができれば、速度計として被計測物の振動を捉えることができるセンサとなる。
光ファイバが伸縮する際に、ファイバ内のドップラ効果により生じる周波数変調は下式で示される。fdはセンサ部で生じる周波数変調、λは光波の波長、は光ファイバの変位速度である。ここで負号は、変位速度の増大により光の周波数が低下することを意味している。



上式に示すように、周波数変調fdと変位速度は比例関係となる。この周波数変調fdは光ヘテロダイン方式を用いて検出され、周波数/電圧変換器(FV変換器)によって電圧に変換される。ここで変換された電圧と変位速度の関係を、を比例定数として示すと下式のようになる。したがって、FODセンサは検知した変位速度を電圧で出力するセンサであり、変位速度が大きくなると電圧出力が大きくなるという特性を持つ。



ここで、

周波数変調fdを検知するためのレーザードップラ振動計システムを下図に示す。システムはセンサ回路と計測回路から構成されている。計測回路がヘテロダイン干渉法を用いて周波数変調量を検出する回路である。同図より、光源(Light source)から入射された周波数f0のレーザ光は、センサ回路と計測回路に分波される。センサ回路では、計測対象物の振動によってファイバ部が微小伸縮すると、それに伴いファイバの光路長が時間的に変動する。その結果、レーザ光には光路長の時間的変化であるに比例した周波数変調fdが生じ、センサから出力されるレーザ光はf0-fdとなる。一方、計測回路ではAOM(周波数変調器)により周波数fM (80MHz)の基準光を加えf0+fMに変調される。そして、センサ回路からのレーザ光と計測回路からのレーザ光の周波数の差fM+fdが導かれ、検知器(Detector)でfdが検出され、周波数/電圧変換器(FV)で電圧値に変換される。